能「蝉丸」で、生まれつき盲目の蝉丸は父帝により逢坂山に捨てられます。
命じられた臣下は帝の仕打ちを悔しがりますが、
蝉丸は、
盲目となったのは前世の因縁だから
この仕打ちは、前世の罪を清算し
来世を救済しようとする親の慈悲だ
とたしなめます。
このように、能のお話では、
身に生じた悪いことは前世の因縁だと考える(言い聞かせる?)
場面が多くみられます。
そんな話を生徒さんとしていたところ
彼女の弁
「そう考えると楽なんですよ」
・・・・なるほど、確かに。
今の状況を、自分のせいだ、他人のせいだ、世の中のせいだ
と思いめぐらすより、前世の因縁だと割り切り(?)
今をどう生きていくかを考える方が生きやすいかもしれない。
特に能の多くの曲がつくられた600年以上前。
現代より、生い立ちなどに左右され、
自分の力ではどうしようもない物事が多かった時代。
あきらめとも取れますが、生きる知恵でもあったかもしれませんね。
先日、能「江口」の地謡を務めさせて頂きました。
仏の教えが盛り込まれた詞章が胸に響く曲ですが
僧の夢に出てきた江口の霊も、
この世は仮の宿だから心を留める(迷い、惜しむ)な・・と伝えます。
そんな彼女も生きているうちは、
遊女である身を哀しみ、
人の移ろいやすい心を嘆き、
自らの執着する想いに迷うのですが、、、
ことに今は思い悩むことが多い日々が続きますが、
少しでも前向きに生きるようにしたいものですね。
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