• 美千代  謡三昧。日々喜々。

いざいざ、木賊(とくさ)刈ろうよ

~能「木賊」の里、園原にて~

能「木賊」は、

行方不明となった子供の消息を求め

街道沿いに住む老人の話です。


舞台は長野県下伊那郡阿智村の園原(そのはら)。


奈良や平安の時代には、

東北へ下るために「東山道」が使われました。

園原はその難所であった神坂峠のふもとに位置します。

そのため、当時の多くの歌にも詠まれています。


「園原や 伏屋に生ふる ははき木の

ありとは見えて 逢わぬ君かな」

新古今集 坂上是則


この歌に想を得て作られたといわれる

能「木賊」。


木賊は園原の名産で、工芸品などを磨くために使われた草です。

主人公の老人は若い人に交じってこの木賊を刈りながら、

子供のことを思い、余生を暮らしています。


旅人が来ると家に招き、

酒に溺れ、愚痴も涙も流しながら子供の好きだった舞を舞う。。。

「あの子はこう舞ったのです。この手をこう指したのです。」

身を寄せた僧に伴われ、父に会いに来た子供が見ているとも知らず。


狂乱の舞となるものを、

能の中でも静かで品位のある「序の舞」を舞うことに

老人の哀しみが込められているのしょうか。


能の中では、上記の歌の他にも、

園原を舞台にしたいくつもの歌や、

当時有名だった「ははき木」の話も織り交ぜられて

色々な面で楽しめる一曲です。


さて、

阿智村は日本一の星空でも有名になりましたが、

昼神温泉を有し現在も人気の観光地です。


伊那市からは自動車で1時間半から2時間かかるので

あまり行ったことはなかったのですが、


阿智村から通っている生徒さんから

「阿智村が舞台の木賊という能ですが・・・」

と問われ、


「阿智村と木賊??? ああ、園原だ!!」

と初めて気づく。お恥ずかしい。


「園原に村で管理している能舞台があるのですよ。

見てみてください。」

と言って頂き、先日初めて園原に行ってきました。


結構峠に向かい上りますが、

万葉大好きな人々が訪れ街道を歩いて楽しむということで、

お寺や茶屋などもあり、とても気持ちがよいところです。

桜の頃には、有名な大木もあり賑わうそうです。


最澄が旅人のために立てた布施屋「広拯院」跡

「月見堂」の隣にある古民家の中に入ると(注)

30年程前に村で建てた能舞台が。。。

 

素敵!!

狭いけど趣があって、、、


「何かに使いたいんですよね・・」

うんうん。そうだよね。

ということで現在企み中ですが、そのことは後日報告ということで。


私たちは六百年以上前の

能が作られた時代に想いを馳せることが多いですが、


当時の世阿弥さんは、その数百年前の

万葉の世界に想いを馳せていたんですね。


そして、今住んでいる人々がそのことを大切にしている。。。

やっぱり日本は良いなぁ。


注)村で管理しており通常は入れません。










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